音名(おんめい)とは音符に付けられた音の名前ですが、やはり国によって呼び方は違います。ここではイタリア語・英語・日本語の音名を確認しておきましょう。その音名に付けられる事が多い変化記号(へんかきごう)の、種類や意味も知っておきましょう。
音名
ド・レ・ミはイタリア語
最も親しまれているであろうド・レ・ミという音名ですが、これは日本オリジナルの音名ではなく、イタリア語が元になっている音名です。イタリア語音名・英語音名・日本語音名を見比べてみましょう。
音名は使い分ける
日本では音を歌う時はイタリア音名、コードを扱う時は英米音名、曲の高さを表す時は日本音名という風に、音名は時々により使い分ける事が多いかと思います。しかし、ポピュラー音楽を楽しむだけなら、英米音名さえ覚えておけば困る事はありません。
ドイツ語音名はクラシック
クラシック音楽を勉強している人は上記の3つに加えて、ドイツ語音名もよく使われます。
オクターブは音が一周
ピアノの白いキーを白鍵(はっけん)と言いますが、ド・レ・ミは白鍵だけで作られているのが分かります。また、ドから次のドまでを1オクターブ、その次のドまでなら2オクターブという表現をします。もちろん、始まりの音はド以外にもあり得ます。因みに、黒いキーを黒鍵(こっけん)と言います。
ギターも同じ並び方
ギターに音名を置いてみると上記のようになり、ピアノとは違い一目では分かり辛いです。しかし、②のようにド・レ・ミを部分的に見てやると、ピアノと同じように並んでいるのが分かると思います。
指版(しばん)
ギター等の弦楽器の音名が記される部分を指版と言います。
変化記号
変化記号の読み方と効果
上記音符の左隣にあるものを、変化記号と言います。①~⑤の変化記号の読み方と効果を、順番に見ていきましょう。
- ① シャープ
半音1つ分だけ音が上がります。シャープを日本式では、嬰(えい)と言います。
- ② ダブルシャープ
半音2つ分だけ音が上がります。ダブルシャープを日本式では、重嬰(じゅうえい)と言います。
- ③ フラット
半音1つ分だけ音が下がります。フラットを日本式では、変(へん)と言います。
- ④ ダブルフラット
半音2つ分だけ音が下がります。ダブルフラットを日本式では、重変(じゅうへん)と言います。
- ⑤ ナチュラル
変化記号で変わった音を元の音に戻します。ナチュラルを日本式では、本位記号(ほんいきごう)と言います。
半音とは?
何度か半音(はんおん)という言葉が出てきましたが、これは音程(おんてい)の1つの事で、音程とは距離の事だと思ってください。ピアノで半音を表すと以下のようになります。
半音は最小の音程
それぞれが半音を表しています。例えば、ドから半音上がるとレではなく、ドの右斜め上にある黒鍵が、ドから半音上がった音程になる分けです。ミ~ファとシ~ドの間には黒鍵がないので、それらの部分だけは白鍵同士で半音の距離です。半音が理解できら、変化記号を利用した音名を見ていきましょう。
シャープを使った音名
- ドが半音上がればド#と表され、日本読みだと嬰ハとなります。
- ミが半音上がればミ#と表され、日本読みだと嬰ホとなります。
ダブルシャープを使った音名
- ドが半音2つ分上がればド×と表され、日本読みだと重嬰ハとなります。
- ミが半音2つ分上がればミ×と表され、日本読みだと重嬰ホとなります。
ダブルシャープの書き方
ダブルシャープの正確な書き方は×ではありませんが、手書きでは×と書く事がほとんどです。
フラットを使った音名
- レが半音下がればレ♭と表され、日本読みでは変ニとなります。
- ファが半音下がればファ♭と表され、日本読みでは変ヘとなります。
ダブルフラットを使った音名
- レが半音2つ分下がればレ♭♭と表され、日本読みでは重変ニとなります。
- ファが半音2つ分下がればファ♭♭と表され、日本読みでは重変ヘとなります。
ナチュラルを使った音符
- ファ#だった音がナチュラルで、元のファになります。
- ソ♭♭だった音がナチュラルで、元のソになります。
異名同音はややこしい
ドが半音上がればド#で、レが半音下がればレ♭ですが、この二音は同じ黒鍵上の音です。こういった音は複数あり、これを異名同音(いみょうどうおん)と言います。実質的には同じ高さの音なのですが、音楽理論的には違う音になり、これは音程の勉強をすると分かるはずです。
臨時記号
小節線で区切る
先ず小節についての、最も基本的な事を説明します。矢印で示す縦の線は小節線と言われ、これで小節を作っていきます。区切った小節は左から、1・2・3・4小節目と数えていきます。
臨時記号になる
変化記号は曲中の音符に付く時、臨時記号(りんじきごう)と名前を変えます。臨時記号には幾つかの決まりがあります。順番に見ていきましょう。
臨時記号の決まり①
臨時記号は同じ小節内では効果が持続されるので、1小節目のように音符にシャープを付け続けなくても、ド#となります。2小節目からは効果は切れますが、上記のようにカッコ付きのナチュラルで、効果の終わり知らせる親切な譜面も多く見られます。
臨時記号の決まり②
臨時記号は同じ高さの音にしか適応されないので、音符がオクターブ上下の位置に記されてあっても、その効果はありません。
臨時記号の決まり③
1・2小節目を跨いでいるのはタイ記号です。タイ記号で繋がれた音符は音を伸ばし続けるので、本来なら臨時記号の効果が無くなる2小節目も、タイ記号で繋がれた音符だけは、ラ♭を続ける事になります。
調号は臨時記号ではない
小節の冒頭にフラットの変化記号が3つありますが、これは臨時記号ではなく調号といわれるものです。調号がある高さの音符はオクターブ関係なしに、フラットやシャープが付く事になります。元の音にしたい時は2小節目のように、ナチュラル記号を使います。
- 音名は使い分ける事が多い。
- 変化記号で音名の呼び方も変わる。
- 臨時記号には決まりがある。