演奏中には同じフレーズを弾く事もありますが、その度に小節を書くのは手間がかかる上、譜面を見る側もややこしくなります。それを解消してくれるのが反復記号(はんぷくきごう)です。反復記号にも色々な種類が見られ、よく使われるものから、一生見ないものまであると思います。
リピート記号
リピート記号の省略
1小節目のAと8小節目のHにあるのがリピート記号です。リピート記号の範囲を繰り返すという意味なので、全部で16小節を弾く事になります。この場合、Aのリピート記号は省略される事もあります。
- 小節の進行順
A・B・C・D・E・F・G・H・A・B・C・D・E・F・G・H
リピート記号の回数指定
リピート記号は小節の途中にも使われ、その範囲を繰り返します。また、稀にリピートの回数を指定する場合があり、その時は上記のように回数が表記されます。
- 小節の進行順
A・B・C・B・C・D・E・F・E・F・E・F・G・H
リピート記号の背中合わせ
6小節目のFと7小節目のGは、リピート記号が背中合わせのようになっています。この場合はリピート記号の書き方に変化が見られ、細い縦の線が省略されます。
- 小節の進行順
A・B・C・D・E・F・D・E・F・G・H・G・H
括弧のリピート記号
括弧1を飛ばす
括弧のリピート記号というのもよく見られ、括弧に書かれる数字に従い小節が進行されます。リピート記号で戻った時は括弧1には入らず、括弧2へ飛んでやりましょう。
- 小節の進行順
A・B・C・D・E・F・A・B・C・D・E・G・H
括弧の数字に注意
括弧の数字は1と2だけとは限りません。6小節目のFが括弧1・2とあるので、リピート記号で戻った2回目も6小節目のFへ入り、3回目で6小節目のFを飛ばして、7小節目のGへ飛びます。
- 小節の進行順
A・B・C・D・E・F・C・D・E・F・C・D・E・G・H
ダ・カーポとフィーネ
ダ・カーポは最初に戻る
8小節目のHにあるD.C.(ダ・カーポ)は、小節の最初に戻るという意味です。上記の場合だと、1小節目のAから8小節目のHを、リピート記号で挟んだ状態と同じです。
- 小節の進行順
A・B・C・D・E・F・G・H・A・B・C・D・E・F・G・H
フィーネは終わり
4小節目のDにあるFine(フィーネ)は反復記号ではなく、その小節で終わる事を意味します。しかし、1回目のDで終わるのではなく、D.C.で戻った2回目のDで終わります。
- 小節の進行順
A・B・C・D・E・F・G・H・A・B・C・D
ダル・セーニョ
ダル・セーニョで飛ぶ
8小節目のHにあるD.S.(ダル・セーニョ)は、3小節目のCにあるまで飛ぶ事を意味します。そのはセーニョマークと言います。
- 小節の進行順
A・B・C・D・E・F・G・H・C・D・E・F・G・H
セーニョマークのみ
大抵のダル・セーニョはD.S.との組み合わせですが、D.S.の代わりにが使われる事もあり、その場合は両方とも同じです。
- 小節の進行順
A・B・C・D・E・F・G・H・C・D・E・F
コーダ
コーダも飛ぶ
D.S.と同じくcoda(コーダ)も、指定の小節まで飛ぶ意味を持ちます。をコーダマークと言い、2回目の6小節目のFを終えたらから、9小節目のIのへ飛んでやります。
- 小節の進行順
A・B・C・D・E・F・G・H・C・D・E・F・I・J・K・L
コーダマークのみ
ダル・セーニョと同じように、コーダものみで書かれる場合があります。2回目の5小節目のEを弾き終えたら、9小節目のIのへ飛んでやりましょう。
- 小節の進行順
A・B・C・D・E・F・G・H・B・C・D・E・I・J・K・L・K・L
ビスとテルとクアテル
bisは2回の繰り返し
2小節目のBにbis(ビス)とありますが、これは2回繰り返すという意味を持ちます。
- 小節の進行順
A・B・B・C・D
terは3回の繰り返し
3小節目のCにter(テル)とありますが、これは3回繰り返すという意味を持ちます。
- 小節の進行順
A・B・C・C・C・D
quaterは4回の繰り返し
2小節目のBから3小節目のCにかけてquater(クアテル)とありますが、これは4回繰り返すという意味を持ちます。
- 小節の進行順
A・B・C・B・C・B・C・B・C・D
修正用の反復記号
bis・ter・quaterは譜面完成後にミスがあった時など、手書きで加えられる修正用の反復記号らしく、一般に販売されている譜面で、目にする事はないかと思われます。
反復記号の練習
反復記号の効果を見分ける
最後に16小節で反復記号の練習をしてみましょう。1回目のとの効果は無しというのが分かれば、それほど難しくはないので、下記の答えを見る前に、自分で考えてみてください。
- 小節の進行順
A・B・C・A・B・C・A・B・D
E・F・G・H・I・J・K・L・G・H・I・J
M・N・O・N・O・P
- 反復記号は手間を省いて見易い譜面を作れる。
- リピート記号が最もよく見られる反復記号。
- 反復記号の種類は他にも多数ある。