曲の速さを決めるのが速度記号です。速度記号の一部はポピュラー音楽でもよく見られますが、クラシック音楽だけでしか目にしないものもあります。速度記号もイタリア語で表現されており、たくさんの種類がありますが、ここでは基本的なものだけを見ていきましょう。

速度記号①

  • 4分音符=90のメトロノーム記号
    4分音符=90のメトロノーム記号2小節
  • 4分音符=120のメトロノーム記号
    4分音符=120のメトロノーム記号2小節
  • 4分音符=150のメトロノーム記号
    4分音符=150のメトロノーム記号2小節

メトロノーム記号

①②③のそれぞれに「4分音符=数値」が記されており、これをメトロノーム記号と言います。数値が大きいほど曲の速度であるテンポも速い、という分かり易い仕組みです。

同じ意味合いのメトロノーム記号
同じ意味合いのメトロノーム記号の画像

1分間に打つ回数

メトロノーム記号の音符は4分音符だけとは限らず、8分音符や2分音符の時もあります。そして、メトロノーム記号は「その音符が1分間に打つ回数」を示しています。なので、上記の3種類は同じ意味合いとなりますが、これは理解できなくても全く問題ありません。

  • BPM:90
    BPM:90の2小節
  • BPM:120
    BPM:120の2小節
  • BPM:150
    BPM:150の2小節

BPM(Beat Per Minute)

④⑤⑥のそれぞれに「BPM:数値」とありますが、ビート・パー・ミニットの略記号で、これも曲のテンポを表しています。メトロノーム記号と同じく、数値が高いほど曲のテンポも速くなります。

メトロノーム記号とBPM

ポピュラー音楽だけを楽しむなら、メトロノーム記号とBPMさえ知っておけば、困る事はないでしょう。

速度記号②

文字の速度記号(Largo~Presto)
文字の速度記号(Largo~Presto)一覧表

テンポは違ってくる

文字による速度記号もあり、それはイタリア語で書かれます。あくまで目安なので、例えば同じAndanteの曲でも、テンポや雰囲気は微妙に違ってきたりもします。

GraveとLento

Largoよりも更に遅いGrave(グラーヴェ)や、Adagioよりやや遅いLento(レント)等もありますが、ここでは省いています。

BPMと文字の速度記号
BPMと文字の速度記号の画像

BPMも目安

テンポの中間に位置するModeratoをBPM:120としてみると、他の速度記号は上記のような感じになるでしょうか。もちろん、これも大体の目安なので、参考程度にしておいてください。

issimo・etto・ino
issimo・etto・inoの説明画像

意味を強めたり弱めたり

接尾辞(せつびじ)というのは単語に付加されるもので、issimoは意味を強め、ettoinoは意味を弱めます。これらを先程の文字の速度記号に付加させると、微妙なテンポを表現できるわけです。主にissimoを例に挙げて、少しイタリア語の勉強をしてみましょう。

Largissimo・Larghetto・Andantino・Prestissimo
Largissimo・Larghetto・Andantino・Prestissimoの説明画像

元のテンポで意味が変わる

Largoissimoを付けるとLargissimoになり、元のLargoより遅くなります。Prestissimoを付けるとPrestissimoになり、元のPrestより速くなります。このように同じissimoでも、元のテンポが遅いか速いかで意味が変わるので、最初は少し戸惑うかもしれません。

文字の速度記号(Largissimo~Prestissimo)
文字の速度記号(Largissimo~Prestissimo)の画像

イタリア人には通じない?

LargissimoからPrestissimoまでを、左から遅い順に並べてみましたが、ポピュラー音楽では先ず見ない標語だと思います。また、読み方は英語読みを更にカタカナ読みにしているので、イタリアの方が聞いたら、滑稽な発音に聞こえるかと思います。

速度記号③

rit. / rall. / accel. / string.
rit. / rall. / accel. / string.の表画像

だんだんと○○する

曲中にテンポが変わる事もあり、その場合は次のような速度記号が用いられます。rit.(リタルダンド)と、rall.(ラレンタンド)がだんだんと遅くなり、accel.(アッチェレランド)と、string.(ストリンジェンド)がだんだんと速くなります。

piu mosso / meno mosso / ritenuto
piu mosso / meno mosso / ritenutoの表画像

今までより○○する

mossoには「今までより」という意味があり、それの頭にpiuを付けると今までより速く、menoを付けると今までより遅く、という意味になります。突然として遅くするという意味の、ritenutoもありますが、どれも使い所が難しく感じられるでしょうか。

tempo rubato / a tempo / Tempo I / fermata
tempo rubato / a tempo / Tempo I / fermataの表画像

フェルマータは停止と終止

tempo rubatoは自由な速さという意味ですが、適度で良い具合の速さという場合もあります。同じような記号にa tempoTempo Iがありますが、厳密には違う意味のようです。fermataはテンポを一時的に停めますが、使い方によっては終止にもなり、普通はフェルマータ記号が使われます。

記事終了
このページのまとめ
  • メトロノーム記号とBPMが理解できれば良い。
  • 文字の速度記号は絶対的なテンポを示す標語ではない。
  • ポピュラー音楽の譜面では一生見ない速度記号もある。