和音記号は和音を全体的に表すものですが、コードネームはその和音専用の記号です。ジャズを始めとするポピュラー音楽では、当たり前のようにコードネームを使いますが、近年のクラシック音楽でも使用され出しています。ここでは三和音のコードを見ていきましょう。

英語音名と略記号

日本イタリア英語の音名表
日本・イタリア・英語の音名表画像

英語音名がコードの根音

コードは主に英語で表記されるので、音名も英語の「CDE」を覚えておきましょう。これら英語音名が、コードの根音を表す事になります。次に英語音名を表記した、ピアノ図でも確認しておきましょう。

  • #
  • フラットの英語音名
    フラットの英語音名ピアノ図
  • ナチュラルの英語音名
    ナチュラルの英語音名ピアノ図
  • シャープの英語音名
    シャープの英語音名ピアノ図

根音は♭や#を含む

根音は♭も#も付かないナチュラルの音名だけではなく、DやC#になったりもします。当然そういう場合は、♭や#を含めて根音という事になります。

  • R(ルート)
    R(ルート)の略記号表
  • m3(マイナーサード)/ M3(メジャーサード)
    m3(マイナーサード)/ M3(メジャーサード)の略記号表
  • ♭5(フラットファイブ)/ P5(パーフェクトフィフス)/ #5(シャープファイブ)
    ♭5(フラットファイブ)/ P5(パーフェクトフィフス)/ ♯5(シャープファイブ)

音程の略記号

どんなコードにも必ず表記されるのが根音で、英語式ではRootと言い、略記号では⓿のようにRと表します。同じように長3度が❸のM3、完全5度が❺のP5と言った具合で、コードを勉強する時に見る機会が多いです。以下でもコードの中身を説明する時に、上表で示す音程の略記号を使っています。

略記号は共通ではない

音程の略記号は大体は似通っていますが、共通しているものではないので、#5は+5、7はm7といったように、微妙に違ってくるので注意してください。

コードは音程が必須

コードを知るには音程の把握が必須です。具体的には根音から長3度や完全5度が、どれだけ離れているか等ですが、それらは音程のカテゴリで説明しています。

メジャーコードの中身

メジャーコードネーム
メジャーコードネーム4小節

メジャーコードは長三和音

アルファベットの大文字だけで表すコードをメジャーコードと言い、日本式なら長三和音と同意です。メジャーコードはルートの音名を表す他に、M3とP5を含んでいます。上記でも表すコード「CFG」を、ピアノ図でも見てみましょう。

C / F / G
C / F / Gのピアノ図

M3P5でメジャーコード

Rから半音4つ分のM3と、半音7つ分のP5が、メジャーコードに共通する音程です。なのでRを他の音にしても、このM3とP5の音程さえ守れば、メジャーコードが作れる分けです。これらを踏まえて、改めてメジャーコードネームの、表記について考えてみます。

メジャーコードの読み方

Cなら「シーメジャー」で、Cなら「シーフラットメジャー」で、C#なら「シーシャープメジャー」と読むのが正しいですが、メジャーは省いて読まれる事が多いでしょう。

メジャーコードネーム完成まで
メジャーコードネーム完成までの図

M3とP5は省略できる

RM3P5とあれば、それは全体的なメジャーコードを意味します。そのRにCを当てると、CM3P5となるので、この時点でコードCだと分かります。しかし、一般的にはM3とP5は省略しても良いという決まりがあるので、Cというスッキリした形で表す事が出来るのです。

コードの表し方は複数

コードの表し方は一種類につき、複数あるのが普通です。なので、シーメジャーなら「C」とするのが最も多いですが、上記で見られるように書かれる事もあり、海外では他にもあるかもしれません。

マイナーコードの中身

マイナーコードネーム
マイナーコードネーム4小節

マイナーコードは短三和音

ルート音名に小文字の「m」が付けばマイナーコードで、日本式なら短三和音と同意です。マイナーコードはルート音の他に、m3とP5を含んでいます。上記でも表すコード「AmDmEm」を、ピアノ図でも見てみましょう。

Am / Dm / Em
Am / Dm / Emのピアノ図

m3P5でマイナーコード

Rから半音3つ分のm3と、半音7つ分のP5が、マイナーコードに共通する音程です。なのでRを他の音にしても、このm3とP5の音程さえ守れば、マイナーコードが作れる分けです。これらを踏まえて、改めてマイナーコードネームの、表記について考えてみます。

マイナーコードネーム完成まで
マイナーコードネーム完成までの図

m3は全て省略できない

Rm3P5とあれば、それは全体的なマイナーコードを意味します。そのRにAを当てると、Am3P5となるので、この時点でコードAmだと分かりますが、やはり冗長なので省略します。先程と同様にP5は省略できますが、m3は全て省略できないので、mだけを残してAm等とする分けです。

オーグメントコードの中身

オーグメントコードネーム
オーグメントコードネーム4小節

オーグメントコードは増三和音

ルート音名に「aug」「+」「+5」「(#5)」等が付けばオーグメントコードで、日本式なら増三和音と同意です。オーグメントコードはルート音の他に、M3と#5で作られています。上記でも表している4つのオーグメントコードを、ピアノ図でも確認してみましょう。

Caug / A+ / E+5 / B(#5)
Caug / A+ / E+5 / B♭(♯5)のピアノ図

オーグメントコードの読み方

Rから半音4つ分のM3と、半音8つ分の#5が、オーグメントコードに共通する音程です。上記にも示すよう、オーグメントコードネームは数種類の表記があり、それに見合った読み方をすると良いでしょう。しかし例えば、E+5を「イーオーグメント」と呼んでも間違いではありません。

オーグメントコードネーム完成まで
オーグメントコードネーム完成までの図

#5の表し方

RM3#5とあれば、それは全体的なオーグメントコードを意味します。そのRにCを当てると、CM3#5となるので、これでCがルート音のオーグメントコードと分かります。例によってM3は省略できますが、#5は省略できないので、上記のような表し方になるわけです。

ディミニッシュコードの中身

ディミニッシュコードネーム
ディミニッシュコードネーム4小節

ディミニッシュコードは減三和音

ルート音名に「dim」「○」「m(5)」「-(-5)」等が付けばディミニッシュコードで、日本式なら減三和音と同意です。ディミニッシュコードはルート音の他に、m3と♭5で作られています。上記でも表す4つのディミニッシュコードを、ピアノ図でも見ていきましょう。

Cdim / D#○ / Bm(5) / E-(-5)
Cdim / D♯○ / Bm(♭5) / E-(-5)のピアノ図

ディミイニッシュコードの読み方

Rから半音3つ分のm3と、半音6つ分の♭5が、ディミニッシュコードに共通する音程です。ディミニッシュコードネームも数種類の表記があり、上記のように合わせた読み方をすると良いでしょう。しかし例えば、Bm(5)を「ビーディミニッシュ」と読ませる事もよくあります。

ディミニッシュコードネーム完成まで
ディミニッシュコードネーム完成までの図

m3と#5の表し方

Rm3♭5とあれば、それは全体的なディミニッシュコードを意味します。そのRにCを当てると、Cm3♭5となるので、これでCがルート音のディミニッシュコードと分かります。m3と♭5の両方ともに省略は出来ないので、上記のような表し方になるわけです。

四和音となる場合もある

特にジャズ音楽ではCdimやCとした場合、減7度を加えた四和音として扱う事がほとんどです。なので、確実に三和音として扱って欲しい場合は、Cm(5)やC-(-5)としておけば良いでしょう。

コードネームまとめ(三和音)

C音がルートのトライアドコード
メジャーコードCC△ / CM / Cmaj
マイナーコードCm / C- / Cmin
オーグメントコードCaug / C+C+5C(#5)
ディミニッシュコードCdim / CCm(5)C(-5)

コードネームは統一されていない

三和音を英語でトライアドコードと言いますが、上表はC音をルートとする、4種類のトライアドコードです。いずれも複数の表し方があり、譜面で表記が異なってきます。このように、コードネームの表し方は統一されていないのでなので、慣れるまでに少し苦労するでしょう。

記事終了
このページのまとめ
  • コードネームの最初に書かれる英文字はルート。
  • コードネームは省略できる音程がある。
  • コードネームの書き方は統一されていない。