短音階(たんおんかい)は長音階とは逆に、暗さや悲しさを特徴とする音階です。短音階も長音階と同じく、決まった音程の並び方があり、それを守れば何の音から始めても、短音階を作れるわけです。また、長音階から短音階を作る、という方法も覚えておきましょう。

イ短調と音名

  • ハ長調(Cメジャースケール)
    ハ長調(Cメジャースケール)の小節
  • イ短調(Aマイナースケール)
    イ短調(Aマイナースケール)の小節

ハ長調からイ短調

①はド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ドのハ長調ですが、その6番目の音に当たるラから弾き始めると、②のラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラの、イ短調という音階になります。また、弾き始めの音を主音(しゅおん)と言い、ハ長調ならドが主音で、イ短調なら主音はラです。

短音階は短調でマイナースケール

短音階は他に短調(たんちょう)と表し、英語式ではマイナースケールと言います。

イ短調(Aマイナースケール)
イ短調(Aマイナースケール)のピアノ図

短音階の全音と半音

次も同じイ短調ですが、その音程に注目しましょう。全音半音全音全音半音全音全音という並び方をしており、これが短音階を作る並び方だと覚えましょう。つまりはラ以外が主音になっても、この並び方を守れば短音階が作れるわけです。

長音階と短音階の音程
長音階と短音階の音程表

半音の位置に注目

長音階と短音階の、全音半音の並び方を見比べてみましょう。この音程の並び方で、長音階の明るさ楽しさと、短音階の暗さ悲しさが違ってきます。半音の位置に注目してやると、分かり易いと思います。

  • フラット・変音名
    フラット・変音名表画像
  • ナチュラル・幹音名
    ナチュラル・幹音名表画像
  • シャープ・嬰音名
    シャープ・嬰音名表画像

音名の確認

音名を歌う場合はド・レ・ミの伊語音名を使う事が多いですが、音階になると日本音名と英語音名を扱う事が多いので、各国の音名の確認をしておきましょう。シャープは日本語で嬰(えい)と、フラットは日本語で変(へん)と言います。

シャープを使う短音階

  • ニ長調(Dメジャースケール)
    ニ長調(Dメジャースケール)の小節
  • ロ短調(Bマイナースケール)
    ロ短調(Bマイナースケール)の小節

ニ長調からロ短調

①はニ長調のDメジャースケールですが、それの6番目の音はシです。シを主音にしたのが②で、それをロ短調のBマイナースケールといいます。ニ長調とロ短調は主音は違いますが、使う音は同じです。

  • ホ短調ではない音階
    ホ短調ではない音階の小節
  • ホ短調(Eマイナースケール)
    ロ短調(Bマイナースケール)の小節

ファに#を付ける

ホ短調を作るには③のようにピアノの白鍵だけを弾いても、短音階の全音半音全音全音半音全音全音の音程になりません。そこで④のようにファ#にしてやると、ホ短調が完成します。ホ短調は英語式でEマイナースケールです。

  • イ短調(Aマイナースケール)
    イ短調(Aマイナースケール)の小節
  • ホ短調(Eマイナースケール)
    ホ短調(Eマイナースケール)の小節
  • ロ短調(Bマイナースケール)
    ロ短調(Bマイナースケール)
  • 嬰へ短調(F#マイナースケール)
    嬰へ短調(F♯マイナースケール)の小節
  • 嬰ハ短調(C#マイナースケール)
    嬰ハ短調(C♯マイナースケール)の小節
  • 嬰ト短調(G#マイナースケール)
    嬰ト短調(G♯マイナースケール)の小節
  • 嬰ニ短調(D#マイナースケール)
    嬰ニ短調(D♯マイナースケール)の小節
  • 嬰イ短調(A#マイナースケール)
    嬰イ短調(A♯マイナースケール)の小節

シャープが増える順の短音階

❶~❼はシャープが増える順の短音階です。もちろん、これら全ての短音階は全音半音全音全音半音全音全音の音程で並んでいます。

フラットを使う短音階

  • 変ロ長調(Bメジャースケール)
    変ロ長調(B♭メジャースケール)の小節
  • ト短調(Gマイナースケール)
    ト短調(Gマイナースケール)の小節

変ロ長調からト短調

①は変ロ長調のBメジャースケールですが、それの6番目の音はソです。ソを主音にしたのが②で、それをト短調のGマイナースケールと言います。変ロ長調とト短調の主音は違いますが、使う音は同じです。

  • ハ短調ではない音程
    ハ短調ではない音程ピアノ図
  • ハ短調(Cマイナースケール)
    ハ短調(Cマイナースケール)の小節

♭を3つ使う

ハ短調を作るには③のように、ピアノの白鍵だけを弾いてしまうと、ハ長調になってしまいます。そこで④のように、ミ・ラ・シを通るようにしてやると、短音階の音程である全音半音全音全音半音全音全音になり、ハ短調のCマイナースケールが完成します。

  • イ短調(Aマイナースケール)
    イ短調(Aマイナースケール)の小節
  • ニ短調(Dマイナースケール)
    ニ短調(Dマイナースケール)の小節
  • ト短調(Gマイナースケール)
    ト短調(Gマイナースケール)の小節
  • ハ短調(Cマイナースケール)
    ハ短調(Cマイナースケール)の小節
  • ヘ短調(Fマイナースケール)
    ヘ短調(Fマイナースケール)の小節
  • 変ロ短調(Bマイナースケール)
    変ロ短調(B♭マイナースケール)の小節
  • 変ホ短調(Eマイナースケール)
    変ホ短調(E♭マイナースケール)の小節
  • 変イ短調(Aマイナースケール)
    変イ短調(A♭マイナースケール)の小節

♭が増える順の短音階

❶~❼は♭が増える順の短音階です。やはり全ては全音半音全音全音半音全音全音という、短音階の音程を守り並んでいます。

平行調

ハ長調とイ短調
ハ長調とイ短調の小節

平行調の音階

最初の方でも説明しましたが、ハ長調の6番目の音を主音にすると、それはイ短調になります。両方は主音こそ違いますが、使われている音は全く同じです。こういった関係を平行調(へいこうちょう)と言います。長音階には短音階が、短音階には長音階が隠れている、といった感じでしょうか。

並行調も平行調

平行調は同じ読み方で並行調とも書かれます。

ホ長調と嬰ハ短調
ホ長調と嬰ハ短調の小節

平行短調

ホ長調の6番目の音はド#で、それを主音にすると嬰ハ短調です。この場合、ホ長調の平行短調(へいこうたんちょう)は嬰ハ短調になる、という表現をします。

ハ短調と変ホ長調
ハ短調と変ホ長調の小節

平行長調

先ず短音階の3番目の音を主音にすると、それは長音階になります。ハ短調を例に挙げると、3番目の音はミで、それを主音にすると変ホ長調になります。この場合、ハ短調の平行長調(へいこうちょうちょう)は変ホ長調になる、という表現をします。

ワンペアの長音階と短音階

このように、ワンペアになる長音階と短音階があり、主音は違うものの、同じ音名で作られた音階です。それを平行調と言いますが、直ぐに覚える必要はありません。

記事終了
このページのまとめ
  • 長音階の6番目を主音にすると短音階になる。
  • 短音階は全音半音全音全音半音全音全音という音程で並ぶ。
  • 一組の長音階と短音階は平行調の関係にある。