短音階には種類があり、これまでに説明してきた短音階を原型とすると、あと2種類の短音階が存在します。短音階の使い易さを求めた結果、その種類が増えたとされます。具体的な理由と一緒に長音階も含めた、音の名称を一通り確認しておきましょう。

導音

ハ長調(Cメジャースケール)
ハ長調(Cメジャースケール)の小節

導音は半音で主音へ

ハ長調を例に挙げると、一音ずつには上記のような名称がついています。ここで注目してほしいのが⑦音目の導音(どうおん)で、この音は次の主音へと半音で繋がっている、というのがポイントです。

名称は異なる

上記の名称ですが、楽典によっては異なる場合もあります。

イ短調(Aマイナースケール)
イ短調(Aマイナースケール)の小節

導音にはならない

次はイ短調を例に挙げていますが、これも一音ずつに同じく名称がつきます。しかし、⑦音目は導音になりません。何故なら次の主音へと、半音で繋がっていないからです。

導音で終わりたい

一昔前の西洋人は長音階のように、メロディは導音の半音で終えるとスッキリする、という固定観念があったとされています。短音階には導音がないので、短音階を変形させていく事になります。

自然的・和声的・旋律的

イ短調の自然的短音階(しぜんてきたんおんかい)
イ短調の自然的短音階(しぜんてきたんおんかい)の小節

自然的短音階が原型

上記はこれまでにも見てきた、導音のない短音階です。これを正確には自然的短音階と言い、短音階の原型で、単に短音階とあれば、自然的短音階と思えば良いでしょう。自然的短音階は英語でナチュラルマイナースケールと言われます。

イ短調の和声的短音階(わせいてきたんおんかい)
イ短調の和声的短音階(わせいてきたんおんかい)の小節

和声的短音階で導音

自然的短音階の7音目に#を付け、導音を作り出したのが和声的短音階です。導音は作れたのですが、今度は6音目~7音目が半音3つ分になってしまい、歌い辛いという問題が出てきます。和声的短音階は英語でハーモニックマイナースケールです。

イ短調の旋律的短音階(せんりつてきたんおんかい)
イ短調の旋律的短音階(せんりつてきたんおんかい)の小節

旋律的短音階で最後

和声的短音階の6音目に#を付け、半音3つ分を無くしたのが旋律的短音階です。最もメロディを歌い易い短音階とされますが、この旋律的短音階が短音階のベスト、という事でもありません。旋律的短音階は英語でメロディックマイナースケールです。

イ短調の旋律的短音階の下行
イ短調の旋律的短音階の下行の小節

旋律的短音階の下行

音が上がって行く時を上行、逆に音が下がって行く時を下行と言います。旋律的短音階の下行ですが、上記のように、#は全て外した方が歌い易いとされました。これは自然的短音階と同じになります。

記事終了
このページのまとめ
  • 導音は主音へ半音で繋がっている音。
  • 自然的短音階に導音を作ったのが和声的短音階。
  • 和声的短音階の歌い辛さを解消したのが旋律的短音階。