これまでは全音符から16分音符、そして付点音符を説明してきましたが、それでは表現できない特殊なリズムもあり、その一つが連符(れんぷ)というものです。連符は基本となる音符を割って作るのですが、丁度で割り切れない時に連符となります。よく見られる連符を見ていきましょう。
1拍3連符(いっぱくさんれんぷ)
1拍3連符は連符の王様
先ず基本となる音符を4分音符とします。それを二等分したのが①で8分音符が2つ、四等分したのが②で16分音符が4つの、それらは丁度で割り切れます。❸は三等分しており、これを1拍3連符と言います。この1拍3連符が最もよく使われる連符、と言っても良いでしょう。
1拍3連符の1つ分は?
4分音符の長さを1.0とすると、1拍3連符1つ当たりの長さは約0.333‥‥となり、厳密には三等分にはなりません。しかし、非常に細かい事なので、三等分と考えても問題ありません。
1拍3連符は耳に馴染む
上記はタタタという1拍3連符が、4回鳴っています。音源を聞いてみても分かり易く、耳にも直ぐ馴染むかと思います。これを基本にして、休符やタイ記号を加えてみます。
休符も歌う
上記が全てのパターンではありませんが、④~⑦のウが休符になった部分です。やはりウの休符も、声に出して歌う事が大切です。次はタイ記号を加えてみます。
4分音符でまとめる
⑧は1拍3連符の1つ目と2つ目が、タイ記号で結ばれたリズムですが、これは❽のように4分音符で書かれます。同じように⑨は2つ目と3つ目が、タイ記号で結ばれており、これは❾のように書かれます。
4分休符でまとめる
⑩は1拍3連符の1つ目と2つ目が8分休符ですが、これは❿のように4分休符で書かれます。同じく⑪は2つ目と3つ目が8分休符ですが、これは⓫のように書かれるか、もっとシンプルにはスタッカートを使う書き方をしても良いでしょう。
大きな譜面を開く1拍3連符以外でリズムを崩す
1拍3連符に慣れてしまうと、急に出てくる6小節目の8分音符や、7小節目の付点8分音符でリズムを崩されやすいです。前もって準備を整えておきましょう。
大きな譜面を開く休符が入ると何倍も難しい
先程の8小節に休符を加えてみました。休符が入ると何倍も難しくなるので、いきなり音源と同じテンポでは、先ず無理だと思います。最初はテンポをうんと落として、歌っていきましょう。
2拍3連符(にはくさんれんぷ)
2拍3連符もよく見られる
次は基本となる音符を2分音符とします。それを二等分したのが①で4分音符が2つ、四等分したのが②で8分音符が4つの、それらは丁度で割り切れます。❸は三等分しており、これを2拍3連符と言います。1拍3連符の次に多いのが、この2拍3連符だと思ってください。
2拍3連符の1つ分は?
2分音符の長さを2.0とすると、2拍3連符1つ当たりの長さは0.666‥‥となり、正確には三等分していません。しかしやはりこれも、先ずは三等分していると考えましょう。
2拍3連符は難しい
上記はタアタアタアという2拍3連符が、2回鳴っている小節です。2拍3連符は2分音符が1回鳴る間に、均等に3回の音を鳴らす、という理屈は分かっていても、直ぐに歌えるリズムではありません。そこで2拍3連符のリズムを掴む、次のような考え方があります。
1拍3連符から考える
④はタタタという1拍3連符が4回鳴っていますが、これの間に休符を入れた⑤の「タウタ・ウタウ・タウタ・ウタウ」のタが、先程の2拍3連符が2回鳴るタイミングと同じです。これでタイミングを掴めたら、休符のウをタイ記号で結んだアにした⑥が、完全に一致した2拍3連符になります。
2拍3連符は忘れやすい
改めて2拍3連符と1拍3連符(音符と休符が交互)の、音が鳴るタのタイミングを確認しておきましょう。また、2拍3連符は忘れやすいリズムなので、数十分後には歌えなくなる事もよくあります。その時もやはり、2拍3連符1回分の「タウタ・ウタウ」から、思い出していくと良いでしょう。
大きな譜面を開く2拍目からの2拍3連符
難しいのが4・8小節目の、タイ記号で繋がるリズムでしょうか。8小節目は書き方こそ2拍3連符ではありませんが、別の表現では2拍目から2拍3連符が鳴っているのと同じです。
大きな譜面を開く4分音符で拍の頭を意識する
先程の8小節に休符を加えており、かなり難しいリズムです。歌う時は足や手で4分音符のリズムを取り、拍の頭を意識してやると、何処を歌っているのかが分かると思うので、試してみてください。
半拍3連符(はんぱくさんれんぷ)
半拍3連符も押さえたい
先ず半拍というのは8分音符の事です。それを二等分したのが①で16分音符が2つ、四等分したのが②で32分音符が4つの、やはり丁度で割り切れます。❸は三等分しており、これを半拍3連符と言います。頻繁というほどではないものの、半拍3連符もよく聞く連符なので、押さえておきましょう。
半拍3連符の1つ分は?
8分音符の長さを0.5とすると、半拍3連符1つ当たりの長さは0.166‥‥となり、とても細かな数値になります。これも三等分していませんが、3分の1ずつと割り切ってください。
連桁と半拍3連符
半拍3連符は8分音符と使われる事も多いですが、④や⑤だと見づらいので、連桁(れんこう)で繋げた❹と❺のようにするのが普通です。
半拍3連符が2回続くと?
⑥はタタタタタタという半拍3連符が2回鳴っていますが、これも⑦のように連桁で繋げ見やすくします。しかし、この場合は❽のように「6」でまとめられ、1拍6連符(いっぱくろくれんぷ)とするのが普通です。
1拍6連符は鳴らすのが大変
改めて1拍6連符を確認すると、4分音符を6で割った連符という事です。先程の音源を聞いても分かると思いますが、1拍6連符は分かり易いリズムなものの、歌ったり楽器で鳴らすのは大変です。
大きな譜面を開く長い音符でリズムを崩す
半拍3連符に慣れてしまうと、2小節目の2分音符や、4小節目のタイ記号で繋がれた4分音符などの、長い音符を歌い切れず、リズムを崩す事が多いです。しっかりと音符を見極めましょう。
大きな譜面を開く直ぐに歌えないのが普通
音符のみなら歌えていた人も、休符ありでは歌えない事も多いです。かなり難しいリズムですし、実際の曲もここまで複雑なリズムは、そう多くは出てこないので、直ぐに歌えなくても全く問題ありません。
連符のまとめ
連符は沢山ある
このページで見てきた、1拍3連符・2拍3連符・半拍3連符・1拍6連符の他、上記に挙げた連符表以外にも、まだ沢山の連符があります。しかし、稀に見る程度の連符もあれば、一生見ない連符もあるでしょう。
- 連符で最も多いのは1拍3連符。
- 2拍3連符は1拍3連符を基本に考える。
- 半拍3連符の倍は1拍6連符。