音符や休符の直ぐ右横にある黒点を付点(ふてん)と言い、それらを付点音符や付点休符と言います。音符と同様に付点も音の長さを表しますが、音符につく付点により長さは異なってきます。よく見られる付点音符と付点休符を、先ずは頭で理解して、それから耳でも分かるようにしましょう。
付点2分音符 / 付点2分休符
付点2分音符の長さ
2分音符と付点2分音符の長さを見ると、付点2分音符の方が長いのが分かります。付点音符は、その音符の半分の長さを意味するので、付点2分音符は以下のような計算が出来ます。
4分音符が加わる
①のように付点2分音符は、2分音符に4分音符が加わった長さになります。付点2分休符も同じで、②のような計算式になります。
付点2分音符を分解してみる
③の付点2分音符と付点2分休符は④のように、タイ記号や2分休符と4分休符を使い、同じ長さを表す事も出来ます。
正しいのはどっち?
詳細は2分音符と2分休符で説明していますが、上記の場合だと3拍目が見て取れる、④のように表すのが正しい、と私は音楽学校で教わりました。しかし、③のように表す市販の譜面も多く見られるので、どちらでも良いかと思います。
音符や休符が見て分かる
今度は4分の3拍子なので⑤のように、付点2分音符や付点2分休符1つで、小節内が満たされます。これを分解すると⑥や⑦のようになり、そうしてやると、音符と休符が見て取れるので、分かり易いでしょう。
大きな譜面を開く付点2分休符の後の8分休符
付点2分音符も付点2分休符も、それほど難しいリズムではありませんが、8小節目の付点2分休符の後の8分休符といった、違うリズムが連なると、リズムを乱しやすくなります。
大きな譜面を開くリズムの切り替え
次は4分の3拍子です。これも付点音符でリズムを見失うよりも、6小節目の少し忙しくなる、8分音符や8分休符でミスしてしまう事が多いでしょう。リズムの切り替えを意識しておきましょう。
付点4分音符 / 付点4分休符
付点4分音符の長さ
4分音符と付点4分音符の長さを比べると、やはり付点4分音符の方が長いです。この付点も4分音符の半分の長さが加わるので、以下のような計算が出来ます。
8分音符が加わる
①のように付点4分音符は、4分音符に8分音符が加わった長さになります。付点4分休符も同じで、②のような計算式になります。
付点4分音符を分解する
③は付点4分音符と付点4分休符を使ったリズムですが、これをタイ記号や4分休符、8分休符を使って表すと、④のようにも表現できます。更には⑤のように分解する事もでき、もちろん③④⑤の全ては、同じリズムを作っています。
付点4分音符が2つのリズム
次は4分の3拍子ですが⑥のように、小節内に付点4分音符が2つというのがよく見られ、これが少し厄介なリズムです。2つ目の付点4分音符が、クリックとずれて鳴るために、難しく感じられるのかと思います。同じリズムの⑦と⑧も参考にし、何度も音を聞いて、耳で覚えてしまいましょう。
大きな譜面を開くタイ記号で乱されやすい
4・8小節目に見られる、タイ記号でリズムを乱してしまう人が多いでしょう。先ずはタイ記号を取ってしまい、リズムを歌ってみると分かり易いでしょう。
大きな譜面を開く付点4分休符からの付点4分音符
次は4分の3拍子で、2小節目は先述した、付点4分音符が2つのリズムです。これが歌える人も6小節目の、付点4分休符からの付点4分音符は、直ぐに歌えない人も多いです。
付点8分音符 / 付点8分休符
付点8分音符の長さ
8分音符と付点8分音符の長さも、やはり付点8分音符の方が長く、この付点も8分音符の半分の長さを意味しているので、以下のような音符の計算が出来ます。
付点8分音符は難しい
ここで紹介する付点音符の中で、最も難しいのが付点8分音符です。これには16分音符と16分休符を、理解しておく必要があります。
16分音符が加わる
①のように付点8分音符は、8分音符に16分音符が加わった長さになります。付点8分休符も同じで、②のような計算式になります。
連桁で繋ぐと見やすい
付点8分音符は単独で見るより、16分音符とセットで見る方が多いでしょう。その際には同カテゴリでも説明した、連桁(れんこう)で繋いでやると見やすくなります。付点8分音符+16分音符の③を連桁で繋ぐと❸に、16分音符+付点8分音符の④を、連桁で繋ぐと❹のようになります。
付点8分音符を3で割る
⑤は付点8分音符を三等分した計算式で、そうすると16分音符3つ分になります。同じく⑥は付点8分休符を三等分したもので、これも16分休符3つ分になります。これを踏まえて、リズムを考えてみます。
付点8分音符と同じ長さ
⑦の付点8分音符+16分音符のタアアタのリズムを、16分音符とタイ記号を使い表すと❼のようになります。⑧の16分音符+付点8分音符のタタアアのリズムを、同じように表すと❽のようになります。
付点8分休符と同じ長さ
⑨の付点8分休符+16分音符のウウウタのリズムを、16分休符を使い表すと❾のようになります。⑩の16分音符+付点8分休符のタウウウのリズムを、同じように表すと❿のようになります。
大きな譜面を開く付点8分音符が前か後か
付点8分音符と16分音符のセットのリズムは、付点8分音符が前か後かで、大きくリズムが違います。瞬時に見分けられるようになり、両方のリズムを正確に歌えるようにしましょう。
大きな譜面を開くタイ記号で全く違うリズム
先程の4小節の付点8分音符のリズムに、所々タイ記号を付けてみました。理屈では繋げられた後の音符を伸ばすだけですが、これが簡単には歌えないものです。
大きな譜面を開く休符で1拍の見分けが困難
最後は付点8分休符です。休符が入ってくると、どこまでが1拍(4分音符と同じ値)かが分かり辛くなります。ここでは3・4小節目がそうなので、先ずは1拍に分けてみる事から始めてみましょう。
長さの違う「ウ」
例えば、3小節目の8分休符をウと表していますが、これ一つは、次の付点8分休符のウ一つとは、長さが違うので注意してください。
複付点音符
複付点音符は稀に見る
付点が二つある付点音符と付点休符もあり、それらは頭に複(ふく)をつけて、複付点音符や複付点休符と言います。これらは稀に見る程度ですが、どういった長さになるかだけでも、以下の複付点音符の計算式で、覚えておくと良いでしょう。
複付点音符は半分の半分
複付点音符の二つ目の付点は、一つ目の付点の更に半分の長さが加わり、元の音符からすると、4分の1の長さが加わります。ここでは省略していますが、複付点休符の長さ関係も全く同じです。
譜面を書く人による
上記の④では複付点4分音符と、複付点4分休符を例に挙げていますが、これは❹のようにも表せます。分かり易いのは❹かと思いますが、スッキリするのは④でしょうか。譜面を書く人によって、どちらを選ぶのかは異なってくるでしょう。
- 付点音符の付点は、元の音符の半分の長さの省略形。
- 必ず付点音符や付点休符を使わなくても良い。
- 複付点音符と複付点休符もあるが、目にするのは稀。